趣味の電子工作など
Web ページにも製作例を掲載しています
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
前回のつづきです。
・DC コネクタについて
φ6.3/3.1mm, センターマイナス、プラグ・ジャックとも千石にあるようです。
マル信のMJ-065Mがそのものかも。
筐体のものは1回も使われなかったのか錆びているので、使わないほうがいいかも。
・AC ケーブルについて
3極のACケーブル、ピッチ間11.5mm
日米にあるかなと思って行ってみたら臨時休業でした。
出直さなければ。
2枚ある基板のうち、上側の基板に計測部が集約されています。
回路を追った感じ、上に示した写真のような構成となっています。
現状の明らかな問題点は次の通り:
1.100V レンジで誤差が明らかに大きい
2.AC 測定時にオフセットが生じる
これらについて調整を行いたいと思います。
DC 測定時のブロックは以下のようになっています。
上側基板で 1:100 の減衰器のスイッチを行い、下側基板での x1/x10 の前置増幅により
4 段階の入力レンジ切り替えを行っています。
DC 100V レンジでは減衰器が ON になります。どうもこのブロックが原因のようです。
減衰器部分の回路図は次の通り。
ちなみに切り替えは原始的なリードリレー(写真中銀色の正方形として見えるもの)
によって行っています。
9.9MΩの金属皮膜抵抗 (!) と 100kΩ 抵抗によって 1/100 分圧を行っていますが、
分圧後の電圧をテスタで測ってみると、分圧前の 1/100 になっていません。
通常こういう経年変化は VR で調整できるようになっているのですが、
今回は VR を端まで回しても正常な値に調整できません。
9.9MΩの抵抗のほうが、1% ほど大きくなってしまっているようです。
これは VR1 の補正範囲を超えています。
この金属皮膜抵抗は計測用の高精度(C品: 0.2%)なので、
経年変化といえどこれほど変わってしまうのはおかしいように思います。
しかし、同シリーズのデータシート(なんと 40 年間現行品!)を見ると、
9.9 MΩという金属皮膜抵抗には限界近く大きな値、40 年と言う月日から
これくらい経年変化を起こしてもおかしくないことが読み取れます。
修理としては、+1% というドリフトから、9.45kΩ に 1kΩの金属皮膜抵抗を
直列に挿入することで対応しました。
あとは VR を 1:100 になるよう調整してOKです。
AC 測定時にオフセットが出るということで、これもオフセット調整が必要です。
まずは、AC - DC 変換部分の回路を起こします(主要部分のみ)。
通常は 2 つの高精度 OPAMP により AC-DC 変換を構成することが一般的だと思いますが、
ここでは 1回路入り OPAMP の LM301 による整流回路になっています。
精度を重視するためか、DC カットの方法がちょっと変わっています。
DC 成分のキャンセルは OPAMP 出力の C により行っています。
C により積分回路を構成するため、DC 成分は時間積分されて出力端に現れますが、
これが負帰還ループに組み込まれることで、自動的に DC 成分がキャンセルされる仕組みです。
(このループのせいで、AC 測定時に値の安定まで時間がかかるのですね。)
結局 DC オフセット成分は、OPAMP の オフセット電圧によって生じます。
これは回路図中 VR3 によって調整することになるので、
この VR を、電圧の読みが 0.000V になるようにして調整終了です。
以上で大きな不具合を解決しました。
実はおのおのの計測値も怪しいところがあるので、次回は各レンジ調整を行います。